時間が過ぎてしまったため、エンディングをこちらに上げさせていただきます。
ED
ミナ
飛行機は轟音を立て、離陸した。
ミナは音を受けながら、呟く。
「頑張って」
速度を得た飛行機は、みるみる小さくなっていき……。
空を覆う灰色の壁へと飛び込んでいった。
後には飛行機の余韻と、火威斗の光を残して。
雲中
飛行機はきしむ。
だが、老人はこれは抜けられる、と確信していた。
幾つも搭載した準備は、不足なく役目を果たした。
幸運にも、落雷や磁場には見舞われなかった。
状況を見て、彼は想う。あの少年と少女には悪いことをしたな、と。良い子たちだったとも。
ここで落ちたらカッコ悪ぃ事この上無い。意地の一つぐらい見せなければ。
彼は息を吸うと一気に加速し、雲中からの脱出を計った。
孫に、どうしても見せてやりたかった世界がそこにはある。
あと、一息。
ロータス
塔に君は帰ってきた。ハルトは、お疲れさま、とキミをねぎらった。
パスタとレバーは、処罰が決まった。しばらく復帰することは叶わないだろう。
特に使い道の無いレバーは……ここで考えるのは止めよう。
ルドラは、学習機能をしっかりさせてやれば、もっと人間らしい振る舞いもできるようになるだろう、と伝えられる。
つまり、ルドラに関しては処罰はされず、今後、機会を伺って訓練飛行を行っていく予定らしい。
ハルトは、キミに対してそれだけ言って、部屋を出る。
老人に向けて憤るキミに、父親の笑みを残して。
キミが気付いたか、それはまた別のお話。
ヒート
老人は飛び立った。
その果てにどこに向かうかキミにはわからないが、きっとどこまでも飛んで行ったろう。
ツヅリやロータスは反対していたが、個人の意志で飛んで行った彼を責めることはできないだろう。
ただ飛びたい、そう言った彼の瞳は本物だったのだ。
が、今思えば何か別の意志もあったように感じる。
彼はきっと、“たとえ死期が遠くあろうとも、空に飛び立った”、そう思えてならない。
その理由は、今のキミにはわからない。
いつか、わかる日が来るのだろうか。きっと、それはまた別のお話。
アンジェリン
後日、ミナの元をキミは訪ねていた。
泣いている所や、後悔している様が見れたらな、と思った部分もあるし、
単純にその後が気になった、というのもある。
で、行ってみれば出迎えてくれたのは、あの妙な形状のロボットだった。
至る所ボッコボコになったソレは、今ここにいることを誇っているかのようにピピピと電子音を鳴らす。
ファミ!まだ修理前なんだから動かないの!と、ミナの声が響く。
その声はなんだか元気そうであった。理
由を思案してふと横のボードを見て、キミは思い当たる。
ああ、そういう事か、と。
お茶を入れますね、という声に誘われて、キミは視線を外して奥に行く。
そこで聞いた話は、キミだけの話になるだろう。
ツヅリ
本当に腹の立つ話だった、とキミはウェブに飛び交う情報を見ながら漂う。
老人の主張も、その孫の結論も。どうして、ああなるに至ったかは未だ納得がいかない。
辰織に伝えたら「世の中は、納得いかないことだらけだ」、なんて知ったような口をきく。
三流記事ばっかり書いて、アリシアさんに尻込みばかりしているくせに。と、悪態をついて気を紛らわす。
そんなとき、キミが流した情報が記事となってアップロードされる。
主張、思想は削られた無機的な記事の中に、あまりにも色鮮やかな写真が紛れている。
人々が忘れて久しい、曇りのない場所が、そこにはそっと載せられていた。
記事の片隅に、撮影者の名前とともに。
「Flier & Blue Sky ---- Taken by "Fami"ly」
シスル
二週間ほどして、ミナ・ベークマンが訪ねてきた。振り込んでくれればいいのに、わざわざ(CDな人だ)。
玄関で迎え入れると、依頼の時とは違い、どこか吹っ切れたように見えた。
その上、なにやら大きなカバンを持ってきている。ずいぶん頑丈そうだが。
荷物の事を聞くと、彼女は依頼料の足しにしてください、とそれをキミに渡した。
キミが持つと、カバンは外見に反して、意外にも軽かった。
気に入っていただけるかはわかりませんが、と彼女は付け加えて、彼女はお礼を述べた。
ここで開けても?
そうキミが聞くと、彼女は「ええ」と答えた。
中身をなんとなく察知したキミは、カバンを開けると、布に覆われた板を壁に持っていく。
布を取り去れば、予想通りのものが現れる。
板状には目一杯に描かれた青、そして雲の水面。
隅に小さく、銀色の翼。片翼は青、片翼は銀。
イカロスは小さいが落ちることなく、力強く飛んでいた。
幕
いずこともなく、飛行機は飛ぶ。
銀翼に漆黒と小さな色を灯して。
耳を向ければ、きっと雲の上から聞こえてくるだろう。
風と共に駆ける、空の歌が。
ミナ
飛行機は轟音を立て、離陸した。
ミナは音を受けながら、呟く。
「頑張って」
速度を得た飛行機は、みるみる小さくなっていき……。
空を覆う灰色の壁へと飛び込んでいった。
後には飛行機の余韻と、火威斗の光を残して。
雲中
飛行機はきしむ。
だが、老人はこれは抜けられる、と確信していた。
幾つも搭載した準備は、不足なく役目を果たした。
幸運にも、落雷や磁場には見舞われなかった。
状況を見て、彼は想う。あの少年と少女には悪いことをしたな、と。良い子たちだったとも。
ここで落ちたらカッコ悪ぃ事この上無い。意地の一つぐらい見せなければ。
彼は息を吸うと一気に加速し、雲中からの脱出を計った。
孫に、どうしても見せてやりたかった世界がそこにはある。
あと、一息。
ロータス
塔に君は帰ってきた。ハルトは、お疲れさま、とキミをねぎらった。
パスタとレバーは、処罰が決まった。しばらく復帰することは叶わないだろう。
特に使い道の無いレバーは……ここで考えるのは止めよう。
ルドラは、学習機能をしっかりさせてやれば、もっと人間らしい振る舞いもできるようになるだろう、と伝えられる。
つまり、ルドラに関しては処罰はされず、今後、機会を伺って訓練飛行を行っていく予定らしい。
ハルトは、キミに対してそれだけ言って、部屋を出る。
老人に向けて憤るキミに、父親の笑みを残して。
キミが気付いたか、それはまた別のお話。
ヒート
老人は飛び立った。
その果てにどこに向かうかキミにはわからないが、きっとどこまでも飛んで行ったろう。
ツヅリやロータスは反対していたが、個人の意志で飛んで行った彼を責めることはできないだろう。
ただ飛びたい、そう言った彼の瞳は本物だったのだ。
が、今思えば何か別の意志もあったように感じる。
彼はきっと、“たとえ死期が遠くあろうとも、空に飛び立った”、そう思えてならない。
その理由は、今のキミにはわからない。
いつか、わかる日が来るのだろうか。きっと、それはまた別のお話。
アンジェリン
後日、ミナの元をキミは訪ねていた。
泣いている所や、後悔している様が見れたらな、と思った部分もあるし、
単純にその後が気になった、というのもある。
で、行ってみれば出迎えてくれたのは、あの妙な形状のロボットだった。
至る所ボッコボコになったソレは、今ここにいることを誇っているかのようにピピピと電子音を鳴らす。
ファミ!まだ修理前なんだから動かないの!と、ミナの声が響く。
その声はなんだか元気そうであった。理
由を思案してふと横のボードを見て、キミは思い当たる。
ああ、そういう事か、と。
お茶を入れますね、という声に誘われて、キミは視線を外して奥に行く。
そこで聞いた話は、キミだけの話になるだろう。
ツヅリ
本当に腹の立つ話だった、とキミはウェブに飛び交う情報を見ながら漂う。
老人の主張も、その孫の結論も。どうして、ああなるに至ったかは未だ納得がいかない。
辰織に伝えたら「世の中は、納得いかないことだらけだ」、なんて知ったような口をきく。
三流記事ばっかり書いて、アリシアさんに尻込みばかりしているくせに。と、悪態をついて気を紛らわす。
そんなとき、キミが流した情報が記事となってアップロードされる。
主張、思想は削られた無機的な記事の中に、あまりにも色鮮やかな写真が紛れている。
人々が忘れて久しい、曇りのない場所が、そこにはそっと載せられていた。
記事の片隅に、撮影者の名前とともに。
「Flier & Blue Sky ---- Taken by "Fami"ly」
シスル
二週間ほどして、ミナ・ベークマンが訪ねてきた。振り込んでくれればいいのに、わざわざ(CDな人だ)。
玄関で迎え入れると、依頼の時とは違い、どこか吹っ切れたように見えた。
その上、なにやら大きなカバンを持ってきている。ずいぶん頑丈そうだが。
荷物の事を聞くと、彼女は依頼料の足しにしてください、とそれをキミに渡した。
キミが持つと、カバンは外見に反して、意外にも軽かった。
気に入っていただけるかはわかりませんが、と彼女は付け加えて、彼女はお礼を述べた。
ここで開けても?
そうキミが聞くと、彼女は「ええ」と答えた。
中身をなんとなく察知したキミは、カバンを開けると、布に覆われた板を壁に持っていく。
布を取り去れば、予想通りのものが現れる。
板状には目一杯に描かれた青、そして雲の水面。
隅に小さく、銀色の翼。片翼は青、片翼は銀。
イカロスは小さいが落ちることなく、力強く飛んでいた。
幕
いずこともなく、飛行機は飛ぶ。
銀翼に漆黒と小さな色を灯して。
耳を向ければ、きっと雲の上から聞こえてくるだろう。
風と共に駆ける、空の歌が。
World End ・ Flier --- Fin
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